もらった火 Poem by Iku Takenaka

もらった火

火を欲しい人はないか
よい色の火です
杉林のなかの焚火のやう
印度の魔術の火のやう


いま咥えてゐるタバコの火は
先刻(さっき)ゆきずりの人からもらった
ふしぎな火
砂金石色の貴い火


この火をもらひたい人はないか
順送りにもたせて生かしときたい火
一人でもよい 二人なら
なほ一層よい
このタバコ吸ひ切るまでに
誰れか 来ないか

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