あかつき葉っぱが生きている Poem by Makoto Ooka

あかつき葉っぱが生きている

なぜか
くだものの内がわへ
涼しい雨足がたっていたのだ
その明け方

葱と豆腐は
香ばしい匂いの粒になって
光と軽さをきそっていたのだ
そしておんなの脱ぎすてた
寝巻の波もまた

冷たい受話器に手をもたれ
砂が光りはじめるのを
見つめていたのだ
鷗も溶けるしずかな
潮の重いあけがた

ひと晩じゅう
眠らなかった者たちに
昨日と今日の境目が
あっただろうか

ふたりは天を容れるほらあなだった
そこに充ちるマンダラの地図だった

それでもおんなは
なぜか
香ばしい森だったのだ
あかつきの奥へ走る
あかつきの光だったのだ

たからかな蒼空の瀧音に
恍惚となったいちまいの
葉っぱを見たのだ
葉っぱはなぜか
野のへりを
ゆっくりと旅していたのだ

なぜか
そのいちまいの葉っぱは
ぼくの言葉で
ひっきりなしに
しゃべっていたのだ

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