懺悔録 Poem by Gaku Haghiwara

懺悔録

1
耳元に誰かぶつくさ言うのは何なのか?
 「もはやこれまでとなりますに、
涙の谷とする程に、私は世界を見てきたか?」
 ええ尊い御方よ、足りませぬ。
2
嘗て私の見たものが、今一度見えるのです
 薬瓶が立ち並ぶその場所は
テーブルの端、それが田舎の小径なのです、
 我が寝台脇から塀が続く。
3
小径は斜面を描きます、瓶の形をそのままに、
 家の中からも見つけられたでしょう
庭の塀より上からは。そこのカーテンは青、
 あるいは緑ですか、健康な人の目に?
4
私には、それは懐かしい初夏の天気を齎す
 小径と塀の天上の青です。
そして「エーテル」と銘打たれた彼方の瓶は
 全てに抜きん出た家です。
5
とある高台、栓の付近のそこらに、
 初夏のとある日、私を見守る
女の子が。解っていますよ、淫らなことと、
 私の貧しい心は狂っています。
6
唯一、そこへの道程は…塀の横にぴったり
 張り付き、にじり寄るしかなかったものです
家中の目を避けるためには、2つの目を除き。
 家人たちはその家を 「番小屋」としたものです。
7
その小径を辿る何の権利が、この穀潰しにあったやら?
 それでも、ごく近くまで這い寄れたのは、
有難い塀の助けを借りて、…家人たちの耳目はきっとどうやら
 まん丸に見開かれた事でしょうが、
8
彼女と私共に捕まることはありませんでした、
 彼女が屋根裏を出るとき、そこは、
「エーテル」と銘打たれた瓶の縁の傍でした、
 息を潜めて段々を伝いました、
9
そして薔薇に覆われた門の傍に降り立って。愛しいかな、
 愛し合うがため、逢引に通ったのです。
どれほど悲しく悪しく頭のおかしいことでしたか…
 しかしそのときには、なんとも甘美なことでした!

This is a translation of the poem Confessions by Robert Browning
Friday, November 6, 2020
Topic(s) of this poem: translation
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